初恋はカフェ・ラテ色
「着物で良かったと思うよ。あの時の心春は印象的だったから。日本人形みたいにキレイな子だなって思ったんだ」

ここまで褒められると恥ずかしくなる。屋台で買ったお好み焼きに目を向けた。

「な、なに食べる? 焼きそば? お好み焼き? あ、ビール開け――」
「心春」

照れ隠しに弾丸のように話す私に優しく名前を呼んだ洋輔さんは顔を傾けた。

ゆっくり唇が甘く塞がれた。

心臓がドクンと跳ねる。

上唇と下唇を優しく食まれ、極上のキスが落とされた。


ヒュー――ドドーン!

「すごーい! ハート形の花火―!」

近くにいる女性の声が聞こえてきた。

その声に慌てて夜空を見上げると、すでにハート形は形を崩し落ちていくところだった。

ハート形の花火が見られず残念だと思ったとき、また打ち上げ花火の音が。

「よ、洋輔さんっ、花火っ!」

夜空にピンク色のハート形が浮かんだ。

まるで私たちを祝福しているかのようなハート形の花火。

私と洋輔さんは手を握りながら美しい花火を見つめた。


Fin

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