初恋はカフェ・ラテ色
ようやく就業時間になり、ロッカーを開けたところでハンガーに掛けてあったシャーベットオレンジ色のワンピースが目に入りこれからのことを思い出した。

ハッとしてロッカーのドアに取り付けられている鏡を見る。

すごく疲れた顔してる。しっかりメイクしなきゃ!

「心春先生、今日はデート?」

里佳子先生がメイク中の私の横で立ち止まりにっこり聞いてくる。

「えっ!? デ、デートってわけじゃ……彼氏いないですし」

昨日の約束がデートの訳がない。

一緒と言う意味を取り違えただけで、実際カフェのスタッフもいる食事になるはず。

そう朝の電車の中で思いなおしていた。

「えーっ! 心春先生、可愛いのに彼氏がいないの?」

その驚いた声はまわりの先生にまで聞こえて注目を浴びてしまう。

「でも、すぐに彼氏なんて出来るわよ。可愛いし、優しい、子供好きで幼稚園の先生。心春先生は男性が求めているお嫁さんの理想像そのものなんだから」

なんだか大きく持ち上げられている気がしないでもないけれど、お嫁さんの理想像と言われて悪い気はしない。

< 31 / 263 >

この作品をシェア

pagetop