初恋はカフェ・ラテ色
うそっ、洋輔さんの部屋に上がるの?

びっくりして握られた手をパッと離すと、不意をつかれたような洋輔さんの顔。

「心春? もしかして警戒している?」
「けっ、け、警戒なんてしていませんっ!」

警戒もなにも、いまだかつてその手のことなんてなんにもされたことがないのに。かえって警戒しなくちゃいけないのは洋輔さんだと思う。

……私に洋輔さんを襲うほどの勇気があればの話だけど。

「なら早く入ろう。濡れて気持ちが悪いだろう? 乾かしている間は俺のシャツを着てるしかないけど」

自分を見下ろすとギョッとなる。薄い素材のワンピースは濡れてブラジャーが透けていたのだ。

このままじゃ自宅に帰ることも出来ないし……。

「心春? 行くよ」

困惑している私を置いて洋輔さんは大きなガラスドアの前に立つ。ガラスのドアが静かに開き、洋輔さんは中へ入って行く。

一度も入ったことのない洋輔さんの部屋を見るチャンスだよね。いつも気になっていた。洋輔さんはどんな部屋に住んでいるんだろうって。

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