初恋はカフェ・ラテ色
「雨、小降りになって来たね」

そう言われて窓の外へ視線を移動させる。窓を激しく打っていた雨粒はなくなっていた。

「そうですね……」

そう答えると不意に洋輔さんが笑った。

「男の部屋に入って緊張してるんだ?」
「き、緊張なんてっ……」
「しない方がおかしいだろう。しかも心春は無防備な格好なんだから。俺だからいいけど、男の部屋に入ったらダメだぞ。すぐに襲われるからね」

俺だからいいって……もしかして……やっぱりこんな格好をしているのに洋輔さんはなんとも感じないんだ……。

「……もうすぐ23歳だし……そろそろそんなことも……」

悔しくて心にもないことを言った瞬間、洋輔さんは怖い顔になった。けれどすぐに表情は消え、からかうような笑みを浮かべた。

「ふーん。心春もいつの間にか大人になったということかな」
「どこからどう見ても大人でしょっ」

まだ子供に見られていたのかと、ショックを受けたせいで投げやりに言っていた。それなのに、洋輔さんは楽しそうに笑う。
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