初恋はカフェ・ラテ色
それから少しして残っていた3人は帰って行き、店には私と洋輔さんだけになった。
 
念願のふたりだけの食事。

だけど、想像通りには甘くならなくていつもと同じ。からかわれて、おしまい。

私に女としての魅力がないんだ……魅力があれば部屋にいたとき……。

もうすぐ23歳になる大人なんだから、男女のことは友達や雑誌なんかで知っている。

今日のシチュエーションはまさに男女の関係が進む、そんな時間だったのになにもなかった。

洋輔さんのキスはどんな……

そこでハッと我に返る。

「私ったらなにを考えちゃってるのっ! まるでさかりのついた猫みたいじゃないっ」

最近妄想癖がついちゃってる……。

自己反省し、ベッドにゴロンと横になる。

今日も洋輔さんの愛車、アルファロメオで送ってくれたけれど……甘い時間なんてものはなかった。10分で着いちゃうし。

「妹のようにしか見られないのかな……」

そう考えると胸がズキッと痛みを感じた。

< 46 / 263 >

この作品をシェア

pagetop