初恋はカフェ・ラテ色
ゆっくり咀嚼していると視線を感じた。その方向を見てみると川口さんが大きな目でじっと私を見ていた。

どう反応していいのかわからなくて視線をドリアに戻すと、洋輔さんの声がした。

「川口さん、出来上がったよ」
「はい!」

お手本のような返事をしてからトレーにアイスコーヒーをのせると去っていく。

こんな時間なのにお客様はどんどん入ってきて、洋輔さんは常連客の元へ行ってしまった。

接客中の洋輔さんも好きだけど、じっと見ているわけにはいかないから食べ進める。
 
そこへ太一がやって来た。

「同窓会どうするんだ?」
「同窓会? それいつ? 知らないんだけど」

手紙もメールも見ていない。

「昨日、はがきが来てたぞ?」
「えーそうなんだ。家に帰ったら聞いてみなきゃ」

お母さんがうっかり見せるのを忘れているのかも。

「で、行く?」
「いつなのかもわからないのに行くなんて言えないでしょ?」
「あーたしか7月の……第二土曜だったかな」

太一は眉根を寄せて思い出す。
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