初恋はカフェ・ラテ色
「早く乗れよ」

そう言うとさっさと運転席へ行ってしまった。

ため息が思わず漏れる。

一度『カフェ・グラン・ロッソ』を振り返り、それから仕方なくたっちゃんの車の助手席に乗りこんだ。

「春、振り返って店を見るなんて、未練がましくないか?」

乗り込んだ途端、たっちゃんの呆れた声。

「たっちゃんがいけないんじゃないっ! 洋輔さんが送ってくれるって言っているのに強引にするからっ」

ムッとして言うと乾いたバカにするような笑いが降ってくる。

「それだから洋輔さんをモノに出来ないんだよ」
「はあぁぁぁ? モノってなによっ」

私が目を吊り上げて怒っている間に、たっちゃんはエンジンをかけてアクセルを踏んだ。

「春は駆け引きが出来ないからダメなんだよ」
「駆け引き?」

なんの駆け引き? 

ポカンと運転するたっちゃんの横顔を見つめた。

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