初恋はカフェ・ラテ色

父親のたくらみ

「心春ー、順平さんが来たわよー」

どうやら階段のすぐ下から叫んでいるよう。

「はーい! 今行くー」

ショルダーバッグを持って部屋を出た。進んで行く気になれなくて、階段を下りる足取りは重い。

玄関で順平さんは待っていた。作務衣姿に慣れてしまったせいか、ジーンズと白いポロシャツ姿は別人のように見える。

身長も洋輔さんほどではないけれど、私なんかよりは全然高いし、骨格はがっちり型。運動選手に見えなくもないくらいだ。

インソールのスニーカーを履いていると、お父さんが現れた。

「おやっさん、行ってきます」
「ああ。行ってこいや」

順平さんにお父さんはいつもよりなぜかテンション高めの返事をし、私たちを送り出した。

見送ったりして、どういうつもりなのっ。

門扉を出てからも、お父さんの行動が理解できず顔をしかめてしまう。

「心春ちゃん、俺と出掛けるの……嫌だった?」
 
おそるおそる聞かれて、ふと順平さんに申し訳なくなった。

「そんなことないですよ。どこへ行きましょうか?」

今日は出掛けるしかない。ここまで来てしまったのだから仕方ない。そう考え順平さんに微笑んだ。

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