初恋はカフェ・ラテ色
「まったく、相手にされていないのなら諦めなさいな。洋輔さんは心春みたいな子供と付き合おうなんて思っていないのよ」
「もう子供じゃないからっ!」

いつまでも子供扱いしないでほしい。

子供扱いが癪に障り、ムッとして言いきると床がきしむくらいの乱暴な足取りで部屋に向かった。
 
部屋に入ってから、洗面所へ行こうと思っていたのを思い出す。

洋輔さんに相手にされていないことぐらいわかっている……でも、誰かにそれを言われるのはとても嫌で……。

「あ……」

ドレッサーの上に同窓会のハガキが置かれてあった。

やっぱり同窓会あるんだ……。



食卓はいつになく豪華だった。お刺身の盛り合わせ。脂ののったよだれが出そうなくらいの大トロや透明に近いイカのお造り、ひかりものが好きなお父さんはイワシやアジも伸さんにさばいてもらったらしい。

伸さんと言うのは商店街のお魚屋さんの店主で、中学高校とお父さんの後輩で一番親しいといってもいい。

筑前煮は大きな器にたっぷり。ほうれん草の胡麻和えや豆腐のサラダもあった。

今日のお祖母ちゃんはカラオケをしてきたとかで、たっぷり遊んでお腹が空いて順平さんにあれやこれを勧めながら自分もよく食べている。


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