初恋はカフェ・ラテ色
お父さんと順平さんはビールののち、お刺身を肴に冷酒を飲み始めた。

私の胃はロティサリーが消化されていないようで、おかずをつまんでいた。

早くカフェに行きたくて壁にかかっている時計を何度見たことか。

20時になるところ。

お父さんと順平さんは宴会みたいになっているから、まだしめのご飯にいかない。
 
お父さんに強引に勧められた冷酒を飲んだ辺りから全身がだるくなり眠くなっている。

だけど、洋輔さんに会いたい。
 
しかし、この分だとまだまだ終わらなさそうで。

「心春、眠いんならもう寝なさい。私も部屋へ行くよ」

悶々と落ち着かない私に助け舟を出してくれたのはお祖母ちゃんだった。

部屋に戻ると、思ったより冷酒が効いたのかベッドに座り込んでしまう。ぼうっとする頭でふとたっちゃんの言葉を思い出す。

『駆け引きだから、明日は店に行くんじゃないぞ』

駆け引きか……でも、土曜日に洋輔さんはドライブに誘ってくれたし……。


あくびが出てさらに眠気が増す。

昼間歩いた疲れもあってベッドの誘惑には勝てない。

洋輔さんに会いたいのに、たっちゃんの言葉も気になって、考えているといつの間にか眠りに落ちていた。


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