初恋はカフェ・ラテ色
「ま、経験しないとわからないよ。濡れないまま入れようとしたから、はっきり嫌だって言ったの。そしたら濡れないのはお前が悪いって。最低なヤローでしょ?」

その濡れる濡れない自体、わからないんだけど……。

「結局は双方に愛がなかったんだよね。彼は身体目当て。私は羽振りの良さが好きだったのかも」

彼は某一流企業の社長の息子だと聞いていた。最初のプレゼントはカルティエの数十万円する指輪。その後も高価なプレゼントをもらっていた。まだ付き合って半年くらいだけど、このまま行けばシンデレラストーリーも夢じゃないって話をしていた。

「相手を思いやる気持ちもない甘やかされたお坊ちゃんなんて、こっちから願い下げよ」

そう言いつつも、落ち込んだ顔になるあかりになんて言っていいのかわからなくなった。
 
そこへ注文したハンバーグとエビフライのコンビプレートが運ばれてきた。じゅう~っと鉄板の上で音をたてているハンバーグに食欲がそそられる。

でも、あかりはそうじゃないみたいで、暗い顔でハンバーグを見つめている。

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