ETERNAL〜また逢える〜
届くことの無い言葉

斎場に着くと、朱美は不安そうに私を待っていた。
いつもは明るく元気な朱美が、小さく見える。

私達はただ、しきたりにならった先輩とのお別れをした。

先輩の顔は、事故で怪我をしたはずなのに、とても綺麗で穏やかな顔をしていた。
あの日に会った先輩と変わらず、ただ、眠っているかのように。


斎場をあとにし、私と朱美は、近くのファミリーレストランに足を運んだ。

紅茶を一杯飲み終わる頃、朱美がようやく口を開いた。

「柳田先輩、ヤマに走りに行ったらしい。深夜の事で、走りに行く前に彼女と電話していたらしく、彼女は走りに行くという先輩を泣いてとめたらしい。
前から彼女は先輩が走りに行くのを嫌がってたみたい。
いつか、こういう事故になるんじゃないかと心配だったみたい。
でも、先輩はそれを無視するように走りに行った。
で、ドリフトで対向車線にはみ出した時、対向車と接触、その勢いで壁に激突して車は大破。
幸い、対向車の人は無事だったらしい。
柳田先輩は、即死……だったって…。」

「最近、柳田先輩、ヤマに走りには行って無かったんだよ。
でも、ここ数ヶ月、走りに行くようになっちゃって……。
もう……なんで……?
わからないよ………」

朱美は泣き崩れた。


……なんで?……

私にもわからなかった。
不思議でならなかった。
だって、あの日、私を送ってくれた時の柳田先輩の運転、まるで、壊れやすい大切な物を運ぶかのように、スマートで紳士的で、優しい運転だったから……。

その問いに答えてくれるはずの人は、もう話すことが出来ない。
もう…聞くことの出来ない言葉…
伝えることの出来ない言葉…
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