狂愛苦
情事
 右横のデスクを見るとワイシャツのボタンが今にも弾けそうに、その谷間は誘惑する。


ロングの黒髪からチラチラと拝め、思わず見とれてしまいそうになる、その谷間から目線を外し、左にそらすと可愛らしい部下が茶髪のセミロングを揺らし、目を潤ませ、俺をじっと見つめた。


この職場は俺にとっては最高かも知れない。


毎日のように左右の二人が、お互い負けじと競い合い、俺の関心を引きたがる。


でも無理だ。


俺には愛する妻がいるのだから。しかも新婚だ。


この世に滅多にお目にかかれない、煌びやかな蜜をいくらたらされようとも、毒々しいかぐわしい香りで魅力的に罠に誘いだそうとも無理な話だ。


俺は妻を世界一愛している。

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