甘い甘い誘惑
「今から、俺んちくる?」

と言われ、固まってしまう。


「冗談、冗談。
本当は、もっと一緒にいたいけど、
初めてのデートだから、今日は送ってくよ。」

と、言った。


手を繋がれ、歩いていると、

「優里」

と呼ばれたので、要さんの方を向くと、
突然、要さんの顔が近づいたかと思ったら、
唇に柔らかい感触があった。


一瞬、訳が分からなかったが、すぐに、
キスされたことが分かった。


「! ! !」

目が点。


『付き合ってない人に、簡単にファーストキス奪われるなんて…。』

「もしかして、初めて」

と聞かれ、さらに固まる。



「優里の初めて、もらって、最高!」

ニコニコしながら、要さんは言った。


その後、無口の私とは対照的に、要は、
繋いだ手をブンブン振って、鼻歌まじりで、
私を送ってくれた。








< 34 / 107 >

この作品をシェア

pagetop