一途な彼は俺様モンスター
しばらくすると、光がだんだん消えていき…その中に空翔さんが立っていた。





「空翔さんっ」


気がつくと、私は空翔さんに向かって走り出していた。





「空翔!」

「空翔様!」

「どーしたの!?」


すると楓雅さんたちも、空翔さんに駆け寄った。





「…遅せえよ」

「ごめん!花火に夢中になっててさ…」

「空翔様!怪我はありませんか!?」


心配そうに空翔さんに近寄る、楓雅さんとバネちゃん。





「へーき。超ザコだったし…」

「そっか…つーか呼べよ!心配させんなって!」

「呼ぶ余裕なんてなかったって!ザコ過ぎて、言葉も通じねえやつだったし…待ったなしって感じで…」



空翔さんの言うように、本当そんな感じだった…

助けを呼ぶ時間なんて、全くなかったよね…






「…浅海ちゃん大丈夫?けがない?」

「真由子さん…」


真由子さんが私に近寄ってきて、背中を優しくさすってくれた。




「…私は大丈夫。それより空翔さんが…」

「あいつは大丈夫!ヴァンパイヤは、モンスターの中でもかなり強い方なんだから…そんなやわじゃないって」


なら、いいんだけど…





「それより…あのモンスターの狙いって、やっぱり浅海ちゃん?」





真由子さんのおちゃらけた表情が、一瞬で変わった。

地面に倒れているさっきのモンスターを見て、空翔さんたちは眉をしかめた。






「…ああ。きっと浅海の血が狙いだろうな」






私の血を…!?







「…やっぱりね。ついこの前までは、浅海ちゃんの兄のフリしてたあのモンスターが、浅海ちゃんを隠してたから…狙われることはなかったけど…」

「あの兄貴のフリしてたモンスターが消えたせいで、浅海ちゃんがオープンになったし…浅海ちゃんの血を欲しがるやつらが増えたってことか…」
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