一途な彼は俺様モンスター
そうなんだ…

私の知らないことが、まだたくさんあるんだろうな…


軽い気持ちで、空翔さんのパートナーになったけど…

パートナーになることで、危険なこともたくさんあるんだ。






「真由子さんは、なんでモンスターの残骸処理を…?」


私なんか、モンスターの残骸を見ることもできなかったのに…




「真由子は俺達のようなモンスターの研究をしてるから、残骸のモンスターを家に持って帰って家で研究するんだよ」

「も、持って帰るんですか?!」

「そ。モンスターのことを色々調べて、今後に役立てようとしてるんだ。俺達や自分のために…」

「すごいな。真由子さんは、自分のやるべきことをちゃんとわかってるんですね」


いつもはおちゃらけキャラでも、真由子さんてこういうときは、ちゃんとしてるのね…

だから、自分が本当惨めに思えるよ。

私は何もできない。

ただの弱い人間だから…





「浅海ちゃんだって、やるべきことをやってるじゃん。この前海に行ったとき助けたあの男の子は、浅海ちゃんのおかげだろ?」

「…!」


つい最近のことなのに、ずっと前のことだったように思えるあの日…




「そう、でしたね…」

「みんなそれぞれ役割があるんだよ。俺と空翔は、ヴァンパイヤ一族を守ること。真由子は医者としてのサポート、そして浅海ちゃんは…自分の流れている血を守り、その使い道を悪い方向に外さないことなんじゃないかな?」


楓雅さんの言葉が、胸に突き刺さった。




自分の血を守る…


そして、その使い道を正す…




それが、私のやるべきこと。








「役割は、大きいとか小さいとかの問題じゃないよ。だから他人と比べちゃダメ」

「…そうですね」


なんだか心が軽くなる。



真由子さんのパートナーで、恋人でもある楓雅さんを…

私はどこか自分とは関係のない人なんだと、今まで思っていたのかもしれない…


そう思っていた日とから、こんな言葉をもらえるなんて…



関係ないと思っていた自分が、嫌になる。



楓雅さんとも、いい友達関係を築けそうだな。


きっと空翔さんと真由子さんも、いい友情関係なんだろうな…

そんな関係に、私と楓雅さんもなれるかな…










その夜



「……」



しーん…





物音ひとつしない、真っ暗な部屋。
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