一途な彼は俺様モンスター
走って保健室に行き中に入ると、中には誰もいなかった。


先生は留守かな…



いいや、勝手に寝ちゃお。

先生来たら『生理痛です』とか、適当に言えばいいし…

珍しく誰もいないなら、思いっきりくつろいじゃお…


私は保健室のベットにドカっと寝転がり、冷たくて固い毛布をかぶった。




空翔さんから逃げちゃった…

私を守ってくれるって言ったのに…


逃げてどーすんのよ…

本当バカみたい。




空翔さんが転校してきて嬉しかったけど、でも私…

本当はちょっと嫌なんだと思う…


空翔さんが目立つことが嫌。

そもそも、空翔さんという存在を生徒たちが知ったことも嫌だよ…


私と仲間たちしか知らない空翔さんを、今日1日で何人の子が知ったんだろう…



なんかすごく嫌だよ。

すっごくおもしろくない…






「…っ」



布団にくるまり真っ暗の中で、私は閉じていた目をパチッと開けた。







なにこの気持ち…


なんで私…

こんなに嫉妬してるんだろう…




嫉妬=なに?






いや、わかってる…




好きしか有り得ないよね。





どさっ



私はガバッと起き上がり、布団をはいでバクバクいっている胸に手を当てた。




空翔さんは仲間で、家族みたいなものだと思ってたのに…

いつから異性として意識してたんだろ、私…



異性としては最初から見てたにせよ、恋愛感情がいつの間にか芽生えてたってこと…?




でも考えてみれば、すごく簡単なこと。


思えば空翔さんとの出会いも…

同居生活も全部…


私は毎回のように、ドキドキしっぱなしだった。

だけどそれを恋としてのドキドキだとは気づかずに、なんとなく過ごしていたんだ。



それに、無くした記憶のこと…

記憶がないからって、今の空翔さんに対して目をそらしてたのかも…
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