一途な彼は俺様モンスター
そんな私を見て、真由子さんはハァ~と深いため息をついた。




「た、ため息って…!」

「ごめん…ついね…」


頭を抱える真由子さん。

私そんなに変なこと言ったかな?





「浅海ちゃんて、普段割とぽやーんとしてる子だけど…中身は本当にぽやんとしてたのね」

「え、そうですか?」


ぽやんとしてるつもりは、自分ではなかったんだけど…





「空翔はなんのために、モンスターに囚われた浅海ちゃんを助けに行ったと思う?」

「………」

「浅海ちゃんのためよ?あなたのことが好きだから、助けに行ったのよ」

「…!」


真由子さんの言葉が、胸にグサッと突き刺さった。



最初の真由子さんの問が、全くわからなかったわけじゃない。

正直わかっていたのかも…

でも、自分で認めるのは恥ずかしかった。


だから真由子さんに答えを声に出して言ってもらったけど、

それはもっともっと恥ずかしかった。



余計に、胸に響いた。






「あいつは最初から、浅海ちゃんのことが好きなのよ…大好きなの…見ててわかる」

「・・・・」


真由子さんの力強い口調に、少し泣きそうになった。





こんなに嬉しいと思ったことは、今まであったかな…



嬉しいと涙が出ることもあるんだ…

今まで涙が出たのは、悲しいことだけだったから…






「繰り返すけど、浅海ちゃんの気持ちはすごくわかるよ。私がその立場だったら、どんなことをしてでも記憶を取り戻したいと思うと思う…でも、空翔のことが好きなら…未来に向かった方が…いいのかもよ?」

「未来に…?」

「そう…辛いかもしれないけど、浅海ちゃんと空翔には幸せになって欲しいからさ。少し考えてみて?」

「…はい」



私が向かおうとしていたのは、過去…

私の幸せは未来にあるんだ…
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