一途な彼は俺様モンスター
お兄ちゃんは、昔から完璧な人だった。

頭が良くて、優しくて、運動もできて、モテた。


大学もいいところに行って、仕事も大手の会社に務めて…


妹の私のことも、いつも大切にしてくれる。

でもその反面…

お兄ちゃんて、いつも何を考えてるのかわからないかも。


いつもあんな感じだしさ…

まあ、妹の私に本音なんて言わないか。

彼女とかには言うのかな?

ってか、彼女いるかな?


うーん。謎…






「…随分、長風呂だったな」


お風呂からあがると、リビングでくつろぐお兄ちゃんがそう言った。




「うん…ちょっと考え事してて(汗)」

「何?なにか悩みか?ならお兄ちゃんに…」

「あ、そういうんじゃないの……別にたいした…………ぅっ………ゴホゴホっ!」

「浅海!」


濡れた髪の毛を拭いていたら、突然苦しくなって咳を込み、私はその場に倒れ込んだ。


咳をするたびに、口から血が出るのがわかる…

でも大丈夫。

いつものことだから…


たまにこうやって吐血するのは、私にとってはもう慣れていることだった。




「浅海!ここに」

「……ゲボっ………ハァ…」


お兄ちゃんが持ってきてくれた洗面器に、咳をするたびに出てくる血を吐く。
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