一途な彼は俺様モンスター

「楓雅…ちょっと見てくる…」

「え、空翔！？」


俺は翼をバサッと広げ、気がつくと浅海の村に向かっていた。


村に近づくにつれ、モンスターの気配と煙の臭いが交じる。

そして村に着くと、俺は一瞬呆然とした…





ボーーーーー…ゴーーー…

バキバキ…パチッ…





ついさっきまで村は、真っ赤な炎に包まれて燃えていたのだ。




何があったんだ…！？

なんでこんなっ……



モンスターといえど、まだ子供だった俺。

目の前の炎を前にして、どうしたらいいのかわからなかった…





「空翔！」

「…楓雅！」


俺を追いかけてきた楓雅。

楓雅も火事を見て、かなり動揺している。





「なんで！？なんで火事が…」

「わかんねえ…」


俺たちは辺りを見渡したが、助かった村の住人らしき人はいなかった。

おそらく、村の人全員がこの炎の中だ…





「楓雅…お前山を降りて人を呼べ…」

「あ、うん…わかった………あ！空翔っっっ！」


俺は深呼吸を一度して、勢い良く炎の中に飛び込んだ。

後ろから、楓雅が俺を呼ぶ声が聞こえたけど…すぐ聞こえなくなった。



俺の向かう先は、ただ一つ…

浅海だ。







「くっ………」


炎に飛び込むと、翼と体が焼けるように熱くなる。

俺はすぐに飛ぶのを止め、地面に降りた。


村のにある家は、全て燃えている…

地面のあちこちには、一度は見たことや話したことのある村の住人が倒れていた…



胸を痛めながら、目指すのは浅海の家だ。

手で口を押さえ、暑さに耐えながら浅海の家をめざした…


そして蜃気楼のように見えてきた浅海の家も、やっぱり火に包まれていた。

俺は浅海の家に走って近づくと、玄関先で倒れている浅海の親父とお袋を見つけた。





「おじさん！おばさん！」


親父たちに駆け寄ると、親父は苦しそうに目を開ける。




「つ…空翔くん…」

「どうしたんだよ！なんでこんなっ…」


ハァハァと息をしながら、親父はやっと声を出した。




「モンスターが襲ってきた…そして村に…火をつけた…」

「モンスターが！？」


なんで！？




「狙いは浅海だ…今中に・・・」

「えっ」


家の中にいんのか！？