一途な彼は俺様モンスター
思い出した過去~浅海side~
浅海side
お兄ちゃんモンスターの紙の乗り物のようなものに乗り、空をしばらく散歩すると、都会のきらびやかな街を通り過ぎると
、畑や人気の少ない街にやってきた。
「…どこに連れてく気?」
「…」
さっきから何回かこの質問をしているけど、お兄ちゃんは答えてくれない。
私の血を狙ってる人だから、殺されることはないと思うけど…
もう空翔さんが住む街から、随分離れてしまった…
私の居場所を伝えようにも、どうすることもできない。
バネちゃんはどうしたかな…
私の血を飲んだから大丈夫だとは思うけど、やっぱり心配だよ。
「降りるぞ…」
「え?」
ずっと黙っていたお兄ちゃんが一言そう言って地面を見つめ、私の乗っている紙に手をかざし、地面に向かって動かし始めた。
しばらくの間、ずっと空を真っ直ぐ飛んでいたから、急に下に動くとすごく変な気分になった。
ストン…
紙はそっと地面につくと、私を覆うようにくっついていた紙はヒラヒラと剥がれた。
そして一枚一枚が、まるで生きているかのように舞い、お兄ちゃんの手の平の中に消えていく…
「ここは?」
小一時間ぶりに降りた地面は、コンクリートではなく土。
周りには草木が生い茂っていて、隣に山もあり、近くには川が流れていて、今にも野生の動物が現れそうな雰囲気。
辺りをぐるりと見渡してみると、頭が一瞬ズキンと痛み始める。
なんだろう…
周りを見た途端、急に頭痛が…
もしかして、お兄ちゃんのトラップかなにか…?
ちらりとお兄ちゃんを見ると、私を無表情で見つめていた。
「思い出しているのか…?」
「えっ…」
真っ直ぐ私を見つめるお兄ちゃんに、私は頭を抱えながら見つめ返す。
「俺の呪文が消えかかっているんだな…ヴァンパイアと長いこといたせいで、俺の能力が薄れているんだ…でもいい。またすぐに記憶を消してあげる…そして、ここでいつまで一緒に暮らそう」
「は?」
ここで暮らす!?
こんな田舎で…!!?
「なんだ…?そんなに嫌そうな顔をすることないだろう…だってお前は……以前ここに住んでいたじゃないか…」
「ぇ…!………うぅ…」
頭の痛みが、急に増した。
「いいだろう、全て思い出せ。どちらにせよ、また記憶を消す時には一度前の記憶を戻す必要があるしな…」
「うっ…………あ…うぅ…」
頭が割れそう…
痛い…
苦しい…
私はそのまま意識を失った。
それと同時に、幼い頃の記憶を思い出していた。
最初に記憶に出てきたのは、私のお父さん。
少し小太りで、いつも頭に白いタオルを巻いていた。
基本的には優しい父だったけど、躾には厳しいところがあった…
躾といっても、私たちは特殊な一族だったから、少し変わっていたが。
「浅海。また家から離れて遊んだな?ダメだって言っただろ」
「でも、家が見えるキョリにいるよ」
「ダメだ。外は家の前だけ。あとは家の中で遊びなさい」
「…はい」
一番仲のいい友達との遊びを渋々中断し、私は父の元へ近づいた。
お兄ちゃんモンスターの紙の乗り物のようなものに乗り、空をしばらく散歩すると、都会のきらびやかな街を通り過ぎると
、畑や人気の少ない街にやってきた。
「…どこに連れてく気?」
「…」
さっきから何回かこの質問をしているけど、お兄ちゃんは答えてくれない。
私の血を狙ってる人だから、殺されることはないと思うけど…
もう空翔さんが住む街から、随分離れてしまった…
私の居場所を伝えようにも、どうすることもできない。
バネちゃんはどうしたかな…
私の血を飲んだから大丈夫だとは思うけど、やっぱり心配だよ。
「降りるぞ…」
「え?」
ずっと黙っていたお兄ちゃんが一言そう言って地面を見つめ、私の乗っている紙に手をかざし、地面に向かって動かし始めた。
しばらくの間、ずっと空を真っ直ぐ飛んでいたから、急に下に動くとすごく変な気分になった。
ストン…
紙はそっと地面につくと、私を覆うようにくっついていた紙はヒラヒラと剥がれた。
そして一枚一枚が、まるで生きているかのように舞い、お兄ちゃんの手の平の中に消えていく…
「ここは?」
小一時間ぶりに降りた地面は、コンクリートではなく土。
周りには草木が生い茂っていて、隣に山もあり、近くには川が流れていて、今にも野生の動物が現れそうな雰囲気。
辺りをぐるりと見渡してみると、頭が一瞬ズキンと痛み始める。
なんだろう…
周りを見た途端、急に頭痛が…
もしかして、お兄ちゃんのトラップかなにか…?
ちらりとお兄ちゃんを見ると、私を無表情で見つめていた。
「思い出しているのか…?」
「えっ…」
真っ直ぐ私を見つめるお兄ちゃんに、私は頭を抱えながら見つめ返す。
「俺の呪文が消えかかっているんだな…ヴァンパイアと長いこといたせいで、俺の能力が薄れているんだ…でもいい。またすぐに記憶を消してあげる…そして、ここでいつまで一緒に暮らそう」
「は?」
ここで暮らす!?
こんな田舎で…!!?
「なんだ…?そんなに嫌そうな顔をすることないだろう…だってお前は……以前ここに住んでいたじゃないか…」
「ぇ…!………うぅ…」
頭の痛みが、急に増した。
「いいだろう、全て思い出せ。どちらにせよ、また記憶を消す時には一度前の記憶を戻す必要があるしな…」
「うっ…………あ…うぅ…」
頭が割れそう…
痛い…
苦しい…
私はそのまま意識を失った。
それと同時に、幼い頃の記憶を思い出していた。
最初に記憶に出てきたのは、私のお父さん。
少し小太りで、いつも頭に白いタオルを巻いていた。
基本的には優しい父だったけど、躾には厳しいところがあった…
躾といっても、私たちは特殊な一族だったから、少し変わっていたが。
「浅海。また家から離れて遊んだな?ダメだって言っただろ」
「でも、家が見えるキョリにいるよ」
「ダメだ。外は家の前だけ。あとは家の中で遊びなさい」
「…はい」
一番仲のいい友達との遊びを渋々中断し、私は父の元へ近づいた。