一途な彼は俺様モンスター
紙神の声は震え、拳を握り締めて震えている。



「強いモンスターになりたいと願っても、生まれて持った能力はたいしたことない力…そんなモンスター人生を送ってどうなる?俺は変わりたいと思っていた。そんな時…お前の特殊な血の噂を聞きつけたんだよ」

「…もしかして…狙いは私だったの?」


だから、一族を皆殺しに…?





「そう…お前の血を飲めば、モンスターの力が上がり…それに飲み続ければ最強の力を得られるって聞いたんだ…俺はすぐにお前に目をつけた。お前が一人になる時を、いまかいまかと待っていたんだ…」


フフと笑う紙神。その笑みは、獲物を見つけた野獣のような顔だった…

その顔に、恐怖すら感じる。





「けれど、一向にお前が一人になることなく…なかなかお前を誘拐することができなかった。おまけに、ヴァンパイアまでボディーガードにつく始末…」


ヴァンパイアって…空翔と楓雅のことだ…

この人…空翔たちのことも知ってたの?




「いくらガキといえ、俺にヴァンパイアを倒せる能力はない。でも、弱いといえど俺はモンスター…人間の住む村に火をつけることはお安い御用だ…」

「そして…村に火をつけたの…?」


私の質問に「そうだ」と頷く紙神。


私は怒りで拳をにぎりしめた。








「返してよっ…私の家族を…仲間を……
返してっ!」




こいつさえ火をつけなければ…

今この場所に…お父さんとお母さんと…一族のみんながいたのに…


もう…永遠に失ってしまった…







「うるさい女だな…お前の態度次第で、記憶を消さずにいてやろうと思ったのに…」

「えっ…」


どういうこと…?





「お前が俺に大人しくついて来るなら、記憶を消すのはやめる。でも、抵抗するようなら…再び記憶を消させてもらう…」

「っ!」
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