一途な彼は俺様モンスター
紙神の声は細くてキーンと高く、耳が痛くなるくらい叫んでいた。



「弱いモンスターだったから…お前の血を飲み続けて強くなったのに……なんでだよ…俺の側にはお前はいてくれないのかよ」

「…ごめんなさい……私…自分の好きな人の側にしかいられない…」


空翔の顔が浮かぶ。

草むらの上に紙神に押さえつけられて、草と土がまざり合った香りの中で、優しくて男らしくて…すぐ無茶をしちゃう空翔のことを考えていた。



空翔と私はパートナーだけど…心が繋がっている確認はしてない。

それは、つまり告白のこと…


次に空翔に会えたら…私から好きって言いたい…

ずっと…子供の頃から言えなかったから…




「もう我慢できないっ!今すぐお前の記憶を消してやるっ!!!」

「やっ!」


紙神が私の頭に押さえつけるように手をかぶせて、ぐっと力を入れてきた。

私は這いつくばりながら抵抗するも、紙神の力でびくともしない。




空翔…ごめんね。

もう会えないかもしれないけど…私が世界で一番好きなのは…空翔だけだよ。


大好き…




「記憶を消せ!そして俺のものになれ!!」








愛してるよ…








ずっと…











ドカッッッ




え…



ズズズズ…

ドタっっ




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