一途な彼は俺様モンスター
ずっと…

あなたと

「はい次の人。今日はどうされましたか?」


黒ぶちのメガネをかけた真由子さんが、小太りのモンスターを目の前にカルテを開いた。





「えっと…足が早くなりたくて……浅海さんの血でなんとかしてもらえないかと…」


真由子さんがモンスターをジロっと睨むと、モンスターはギクッと肩を震わせた。私はそれを見てクスクスと笑う。




あれから半年が経ち、私は無事に高校を卒業。(空翔も)
空翔と結婚をして、私はヴァンパイアの正式なパートナーとなった。気持ち的には前とあまり変わらないけど、私の生活はすごく変わった。


紙神と戦った空翔が大怪我を負ったあの時のことがきっかけになって、私はモンスター専門の医者になった。

自分の特別な血だけじゃなく、ちゃんとした医療を学ぶために、マサシおじいちゃんや真由子さんにモンスターの医療を教えてもらっている。だから医者というより、まだ見習いのようなものだ。

自宅にモンスターの病院としての部屋を構え、毎日モンスターの患者を診察している。病気でここに来るモンスターがほとんどだが、今のように私の血を頼ってパワーアップしたいというモンスターもいる。

本職であった人間界での医者の仕事を辞め、真由子さんも本格的にモンスター専門の医者として私と一緒に働いていた。


自分に出来ることは何もないと思っていたけど、今私を頼って毎日のように訪ねてくるモンスターを見ていると、本当に充実している。




「足が早くなるためだけに、うちの浅海ちゃんの血はあげられません!運動をして少しダイエットしなさい」

「そ、そんなぁ…」


真由子さんにキツく言われたモンスターは、ショボンとして部屋を出て行った。






「はい、次!」



ガチャ




「もう患者はいないぜ」


空翔がドアから顔を出す。まだ新婚の私たちは、夫婦というにはまだ少しくすぐったい感じがする。

何時間かぶりに空翔を見ただけなのに、ドキドキしちゃうし…


旦那さんを見てそんなふうに思うなんて変かな…





「マサシが、今日は外でBBQしようってさ」

「BBQ?」

「どこで?」


カルテを片付ける私と真由子さんの手が、ピタッと止まる。
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