一途な彼は俺様モンスター
非常口の近くの、何もない壁に向かって、バネちゃんは手をかざした。

すると壁がポワンと明るくなり、きれいな白いドアが現れた。





「す、すごい!」

「さ、入りましょ♪」


バネちゃんは、そう言ってそのドアを開けた。





ガチャ…




「うわあ~」



中に入ると、そこは結構広くて、ベットとリビング、テレビに小さいキッチンもついていた。



すごい…!


ここに普通に住めるでしょ!

しかも、すごいきれいだし…




「ここは、空翔様の力でつくられた部屋デス!このジムでは、ボクと楓雅様しかこの部屋には入れません。でも今日からは、浅海様も入れますよ」

「本当?嬉しいな」


私もその中に入れてくれるなんて、信用してくれてるってことかな。




「空翔様たちは、休憩中はこの部屋で過ごすんですよ。他の人間と、あまり接触しなように…」

「どうして?」

「正体がバレないためにデス。お二人がヴァンパイヤだってことは、パートナーである方にしか、基本的には教えないようにしてるんですよ」

「あ、そっか…そうだよね」


人間の姿をして仕事してるだけで、本当は空翔さんと楓雅さんはヴァンパイヤなんだ…

もしたちの悪い人間知れたりしたら、めんどくさいことになりかねないもんね。





「 もうお昼過ぎてますし、とりあえずご飯食べましょうか」





バネちゃんが、そう言ってキッチンの冷蔵庫を開けた。





「あ、うん!そうだね!バネちゃんのお昼は?」

「ボクのも作って来ました」

「そっか。じゃあ一緒に食べよう!」


私はリビングのテーブルに、バネちゃんがくれたランチバックを置いた。





「浅海様は、オレンジジュースでいいでしょうか?」

「うん、ありがとう!私、オレンジジュース大好き」

「空翔様からもそう聞いていたので、用意していたんですよ」

「…え」



私…

空翔さんに、オレンジジュースが好きなんて言ったっけ…?
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