一途な彼は俺様モンスター
「わかりました…お手数をおかけします。はい、では…」


スマホを耳から離し、通話を切る楓雅さん。

私は楓雅さんに、申し訳なさそうに近づく…





「…ど、どうでした?」

「大丈夫だよ!担任の先生の連絡先に、なんとかたどり着いて話したけど…浅海ちゃんの兄に成り済まして、家の方でちょっとトラブったって説明した」

「…そしたら?」

「出席日数も単位足りてるし、このまま休んでも問題ないって!明後日は普通に学校で、明明後日が終業式らしいけど…通知表は郵送するからってよ。浅海ちゃんがこんな状態だし、無理して学校行くのも大変だから…このまま夏休み入っちゃえ!宿題も先生が郵送してくれるってよ!さすが金持ち高校だな♪高い学費払ってるだけあって、こっちの要望もちゃんと聞いてくれるぜ!」

「ありがとう、楓雅さん…」



よかった…

学校のこと、すっかり忘れてた…


お兄ちゃんのことがあって、学校のことまで頭が回ってなかったよ。





「良かったな…」

「あ…」


後ろから、空翔さんに頭をポンと叩かれる。



「はい…」

「お前の兄貴に成り済ましてたモンスターのこともあるし、今は無理して学校行く必要ねえよ。一人にならない方がいいし…ちょうど夏休みで、タイミングもよかったな」

「…はい。私、このまま学校辞めた方がいいですよね?ここまでして、行く意味ってない気がして…」


しかも、高い学費払ってまで。

それも、これから空翔さんに払ってもらうんでしょ?

それはちょっと…




「んー…ちょっと考えるよ。お前はあんま心配しないで、夏休み楽しめよ」

「・・・・」

「な、ぷに子」

「は?」



ぷ、ぷに子!?




そう言って、私の首の後ろの肉をぷにぷにと触る空翔さん。




「…なんですか、それ?」

「ここがぷにってるから“ぷに子”。いいあだ名だろ?」

「どこがっ!」
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