一途な彼は俺様モンスター

小さな命

「誰か~誰かっっ!」


女性の声は、誰かに助けを求めながら叫ぶ。





「どうしたのかな…」

「何かあったんじゃないか?」

「ちょっと行ってみようよ」

「…野次馬になるだけだろ」


海の家から出ようとする真由子さんを、空翔さんが止める。

しかし…





「うっさい。空翔はここで待ってれば~行こう!」

「あ…」


空翔さんにべーっと舌を出したあと、真由子さんは私の手を引っ張り、海の家から外に出た。






ざわざわ




「早く!誰か救急車呼んでっ…」

「いやぁぁあ~マサトーーーっ!」






外に出ると…

なにやら騒わがく、数メートル先に人がむらがえっていた。






「…嫌な予感がする」

「行きましょう…」


ただならぬ胸騒ぎがした私と真由子さんは、迷わずにその群れに向かって小走りで走った。

後ろから、楓雅さんが私たちを呼ぶ声がしたけど…私たちは振り返らなかった。





「マサト!マサトーっ!」

「救急車はまだか!?」

「諦めず人工呼吸をっ…」



まるで引き寄せられたかのように、その群れにやって来た私たち。

その現場は、胸騒ぎがした通りのことが現実に起こっていた…







「がんばれ!」



レスキュー隊の人が、幼稚園児くらいの男の子に、汗を吹き出しながら人工呼吸を繰り返している…

その横で、幼稚園児の母親らしき人が、叫びながら泣き崩れていた。





「真由子さん…この子…」

「溺れたのね…あの様子だと、溺れて救助されるまで、結構な時間がかかったんだわ…」

「えっ…」



ってことは・・・
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