一途な彼は俺様モンスター
空翔さんは海を見つめて、眉間にシワを寄せていた…





モンスターって…?




「…わかるんですか?」

「ああ。お前には見えないけど、俺らモンスターには見えるんだ…あの子は海で遊んでたときに、海にいるモンスターにちょっかい出されて溺れたんだな」

「…ちょっかい?」

「そう。モンスターは面白がってやってるだけで、それで人間が死ねばもっと喜ぶんだよ」

「なにそれ…」



面白がって、人間の命で遊ぶなんて…

そんなひどいことするモンスターもいるんだ…


空翔さんたちみたいに、

優しいモンスターだけじゃないんだ…






「もうすぐ、あの子供の命が消える…俺には見える…」






空翔さんには、あの子の命が見えてるんだ…



近くにいる楓雅さんとバネちゃんも…

空翔さんと、同じ表情をしてる…


二人にも…あの子の命が見えているんだ…





真由子さんは、派手な水着を着て…懸命に人工呼吸と心臓マッサージを続けている。


空翔さんに、あの子の運命を聞かされた今…


私はただ、見てるだけ?

見てるしか…できないの…?




私にできることは…何もない…






その時…

近くでバーベキューの道具が置いてあるのが、目にはいって来た…

その道具の持ち主は、野次馬の中にいるのか…その場にはいなかった。



私はそっと…

その道具に近づいた。
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