一途な彼は俺様モンスター
そして…

そのなかに紛れて置いてあった、ナイフを手に取り…





「………くっ…」


自分の手首を、そのナイフで切った…





「浅海ちゃん!?なにやってんの!!?」

「やめてください!」


心配そうに、私に駆け寄る楓雅さんとバネちゃん。

空翔さんは…これから私のやろうとしていることがわかっているのか、黙って私を見つめていた…





「楓雅さん、バネちゃん…空翔さん…私が・・・・あの子を助ける…だから、力を貸して」

「…!」


すぐに私の言葉を理解してくれた様子の3人の、目付きが変わった…そして…





「楓雅、バネ」

「まかしとき~」

「お安いご用デース♪」


空翔さんのその指示で、楓雅さんとバネちゃんは、その場で手を前に出して、気を集中させる…

すると…





ゴオオオオオオ…





「なんだなんだ!?」

「急にものすごい風が…!」

「突風か!?」

「いや竜巻かも!!?」

「前が見えない!」



楓雅さんとバネちゃんの力で、私たちのいる辺り一面に突風が吹き、まるで砂嵐状態に…



よし。

これで私はあの子の所へ…









砂嵐の中…目を凝らしていると、急に体が宙に浮く。

見上げると…




「空翔さん!」


私は空翔さんに、抱えられていた。




「あの子はこっちだ…」

「はい!」


空翔さんは、一瞬で私をあの子のところへ連れていってくれた。

その場所に着くと、不思議とその場所だけ砂嵐はなく、真由子さんだけが懸命に心臓マッサージを続けていた…





「真由子さん!」


空翔さんから降りて、私は真由子さんと男の子に近寄る。




「…はぁ、浅海ちゃん…」


疲れきった表情で私を見て、真由子さんがやっと声を出して言った。






「真由子さん…あとは私が…」

「え?浅海ちゃん心臓マッサージできるの?…って、その血どうしたの!?」
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