一途な彼は俺様モンスター
私の手首から流れる血を見て、心臓マッサージをしながら驚いている真由子さん。

でもすぐに…その顔つきは変わる。






「…浅海ちゃん…この子助かる?」





目に涙をたくさん溜めて、真由子さんは私を真っ直ぐに見つめた。







「…死なせないよ」


私はその場に腰をおろして、そう力強く言った。





「真由子さん!この子の口開けて!」

「了解!」


心臓マッサージを止め、男の子の頭を持ち上げて、手で口をこじ開ける真由子さん。

私はナイフで傷をつけた手首を、男の子の口に近づけて、口の中に血を流し込んだ…





「お願いっ、飲んで…」


男の子の口に血を含ませると、真由子さんはすぐに口を閉じさせ、男の子の体を起こして抱き締める。




お願い…

目を開けて…


手首を押させながら、祈るように男の子を見つめていると…






「………ママは?」






青ざめていた男の子の顔色は、一気に通常に戻り目を覚ました。




これが…

私の血の力…?




その瞬間、私の中で今まで感じたことのない感覚を覚えた…






「…や、った」


真由子さんの目からは涙が…








……あ。



その時、私の周りを取り巻いていた砂嵐が止み…

砂で見えなかった男の子の親や、囲んでいた野次馬たちが現れる。






「マサト…?」

「ママー!」


目を開けて真由子さんに抱かれている男の子に気づき、男の子のお母さんが泣きながら駆け寄った。





「もう大丈夫ですよ、お母さん…」

「ありがとうございます!本当ありがとうございましたっっっ」


男の子の抱き上げ、大粒の涙を流すお母さん。





「おーい!救急車が来たぞー」


救助隊の人の後ろから、救急隊員らしき人がタンカーを持って、こっちに走ってくるのが見えた。





「もう大丈夫だとは思いますが、念のため病院で診てもらってくださいね」
< 94 / 202 >

この作品をシェア

pagetop