一途な彼は俺様モンスター
真由子さんが、お母さんに近づいてそう言った。





「はい!ありがとうございました!本当になんてお礼を言ったらいいか…」

「いえ…お礼なら…」


…。



真由子さんが私の方を見たが、私は静かにを横に振った。






「…お大事に」

「本当にありがとうございます!」


お母さんはそう言って真由子さんに頭を下げて、男の子と救急車に乗った。


その姿を見つめている私の隣に、真由子さんがやってくる…






「…ありがとう。私のこと黙っててくれて…」

「ううん。本当は浅海ちゃんのおかげだけど、よく考えたら真実を言うわけにいかないね…あなたの息子が助かったのは、浅海ちゃんの血を飲んだからですよ…なんて…信じてくれるわけないし…信じてくれたとしても、騒ぎになるだけよね」

「せっかく楓雅さんとバネちゃんが、風を起こして野次馬に見られないようにしてくれたし…」


あんなとこ見られたら、きっと騒ぎがもっとひどいことになってた…







「真由子!」

「…楓雅」


すると、楓雅さんとバネちゃんが、心配そうに私のもとへやってくる。





「お疲れさま。大丈夫?」

「平気よ。浅海ちゃんのおかげで、あの子助かったわ」

「すげー!」

「さすが浅海様デスッ♪」



3人に誉められ、照れくさくなる。





すごいこと…なのかな。


なんだか、まだ私があの男の子を助けた実感がないよ…



自分の血を分けた私よりも、


汗だくになって処置をした真由子さんの方が、よっぽど立派な気がするよ…







「あ、空翔様!」








すると、空翔さんが白い箱のようなものを持って現れた。


さっきまで近くにいたような気がしてたのに、いつの間にかいなくなってた…

どこか行ってたのかな…?






「手出せ…」




< 95 / 202 >

この作品をシェア

pagetop