一途な彼は俺様モンスター
空翔さんは、私に手を差し出す。

私はその手に、そっと手を置くと…





「…飲み物買ってくるね」

「わかった」


真由子さんたちは、海の家へ飲み物を買いに行った。






「手出せ…手当てしてやる」

「…はい」


言われた通り、空翔さんに手を差し出す。

すると空翔さんは、白い箱を開けて消毒液を出した。







「結構深いな…これは痛いだろ」

「…切った寸前は痛くなかったんですけど…今になってじわじわきました…」

「これだけ深いと、治るのも遅いぞ…」

「いいんです…私の傷は遅くてもいつかは治るけど…あの子は、あのままだったら助からなかったから…」

「…」


あの男の子が、真由子さんに心臓マッサージをされているときのことを思い出す…





青ざめた体と…


閉じた目…



その目が…


私の血を飲んだから…開いた…












「………っ…」




私の目から、涙がこぼれる…







「…私の体に流れているこの血が、本当に特殊な力があるのか…ずっと半信半疑だったんです…」

「…」

「でも…今日でハッキリしました…私の血は…本当に特殊な力があるって…死にかけていた男の子命を、救えるくらい…すごい力があるんだって…」

「…」


私の手首を手当てしながら、黙って話を聞いてくれる空翔さん。








「今まで生きてきて、なんの取り柄もなかった私が…人の命を救えるなんてっ…なんか…嬉しくて…嬉しすぎて…」
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