一途な彼は俺様モンスター

夏の終わり

ミーンミンミンミン…



セミの鳴き声が、耳に絡み付く夏の終わりの午後。

私はリビングのテーブルで、夏休みの宿題をやっていた…






「ボクが人間界の勉強ができたら、浅海様のお役に立てたんですけどね…」


アイロンかけをしながら、申し訳なさそうな声を出すバネちゃん。


今日は空翔さんと楓雅さんと真由子さんは仕事のため、私とバネちゃんだけで家で留守番。






「ありがとう、バネちゃん。もう少しだから頑張るね!」


夏休みの宿題は、いつも早めに終わらせてたけど…

今年はサボりがちになっちゃって、夏休み終わりのギリギリまでサボっちゃった…


去年までの夏休みは、別に予定もなかったから…毎日やることなくて、宿題くらいしかやらなかったな。


今は仲間というか…

新しい家族ができたから、毎日が充実してて楽しい♪


だからこそ、宿題なんて後回しにしちゃうなぁ…






「浅海様の宿題が済んだら、かき氷やりましょう!この前、空翔様が買ってくれたんデス♪」

「本当!?やるやる!じゃあ、早く終わらせちゃうね♪」


また、楽しいことが増えた。

前はこんな感情なかったな…


お兄ちゃんと一緒にいて、楽しくなかったわけではないけど…

今みたいな楽しさじゃなかったし…


今は、ただただ楽しいけど…

お兄ちゃんとは、安心感のある楽しさというか…身内と一緒にいれる楽しさ?


ま、本当の身内ではなかったけど…

今がすごく楽しいからいいや!






「あと、夜はみんなで花火やりましょう!夏といえば花火ですよネ♪」

「花火!!?」


私にウィンクするバネちゃん。




楽しいことが、どんどん増えていく。


夏なんて、暑くてつまんないだけの季節だと思ってたけど…

こんなに楽しいイベントが、たくさんある季節なんだね♪
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