愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 彼も私の顔を数秒見ると、軽く溜め息をついた。

「あいつが日本に戻るって言ったとき、俺は反対したんだ。しかも、女の為ときた。女は男を狂わせる。あいつは人の上に立つために生まれてきた男だ。こんなところにいるべきじゃない。早瀬がいなければ、今頃アメリカで誉と会社を立ち上げてた」

「すみません」

「誉を止められなかった俺も同罪だがな」

 西島さんは自嘲する。

「あいつは早瀬に人生狂わされるならそれも本望だって笑って言うんだ」 

「馬鹿ですね」

 私は苦笑する。

 誉のようにハンサムでビジネスの才能もあるオールマイティーな男なら女なんて選び放題なのに、なんで私なんだろう。

「あいつはあいつなりに必死だったらしい。努力しなくても何でも手に入れられる男が、脇見もせず早瀬を守る為だけに力をつけて、最終的には有栖川の会長が誉の存在を無視できなくなった」
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