愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「ところで、本社の方は上手くいったのか?」

 西島さんが有り難いことに話題を変えてくれた。

「まあね。分家の恭介と手を組んで、年明けすぐに会長を引きずり降ろす予定。他の取締役連中も、専務以外は俺と同意見だ」

「まあ、あの御大に権力が集中し過ぎてるからな。いろいろと弊害も多い。秘書の成宮と専務はどうする?」 

「あいつらも害にしかならないだろ。一緒に海外の僻地にでも行ってもらうさ。邪魔者は消す」

 誉が不敵の笑みを浮かべる。

 いつの間に有栖川を掌握したのだろう。

 誉のことだ、日本に戻る前からいろいろ根回ししてたのかもしれない。

「邪魔者と言えば」

 突然、誉の目つきが鋭いものに変わり、口角を上げる。

「秘書室の西園寺麗子、明日付けで寿退社するから」

「え?」

 誉の言葉が信じられなくて、思わず聞き返した。
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