愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 ミーティングルームに行く前に片山くんは私のスカーフに触れたけど、それはこのハートのネックレスに触れるのが目的だったのだろう。

 私の事が心配で、何かこのネックレスの動作確認をしたのかもしれない。

 でも、私は再び高倉に会わなければならない。

 誉の家で過ごすのも今日で最後になるかもしれない。

 そう思うと不安で胸が苦しくなった。

「そんな不安そうな顔するな」

 誉が私の頬にそっと手をやる。

 指先で頬を撫でながら彼は優しく言った。

「今までみたいにひとりじゃないんだ。俺はそんなに頼りにならないか?」

 頼りにならない訳がない。

 でも、誉には言えない。

 聖くんのソフトを渡さなければ、高倉と結婚しなければいけないなんて。
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