愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 ドアが閉まると、誉はいつもの表情で私に向き合った。

「もう1人で悩むなよ。もう俺達夫婦なんだけど」

「どうして内緒で婚姻届なんか出したの?」

「うちのじじいと高倉が何するかわからなかったから。じじいは俺との約束反故にして伊集院の娘と結婚させようとしたし、高倉も瑠璃を脅してきただろう?切り札はタイミングよく出さないと」

 この計算高さ、誰も勝てないと思う。

 多分、会長はこの結婚の事はまだ知らないはずだ。

「でも、私の意志はどうなるのよ?」

「ホント、素直じゃないな。聖、あれ見せてやって」

 誉がわざとらしく溜め息をつく。

「はいはい」

 片山くんがポケットからスマホを取り出して、ある動画を再生した。

 そこに映っているのは、12月24日の私と誉。
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