愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「酩酊状態とはいえ、自分の意志で書いているんだ。無効を訴えても100%無効になるとは限らないぞ」

 西島さんが弁護士らしい言葉を口にする。

「・・・・」

「瑠璃は無効にしたい?」 

 誉が真剣な表情で私に問いかける。

 なんでそんな狡い聞き方するの?

 もう誉と離れるのは嫌だ。

 彼の温もりを知った今となっては手放せない。

 手放したくない。

 無効になんてしたくない。

「・・・したくない」

 私が小声で呟くと、誉は屈んで私に耳を近づけた。

「ん?聞こえないな」

 こいつ、相当意地悪だ。

「無効にしなくていいです!」
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