愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 誉がそっと取り出し、手の平の上に乗せて私に見せる。

 その指輪には刻印が刻まれていた。

 指輪を手に持って刻印を読み上げる。 

「12.24 H to R with love」

「返品は受け付けないから」 

 誉は優しく笑うと、私の手から指輪を取って私の左手の薬指にはめた。

「うん、ぴったり。さすが俺」

 満足気の誉は自分の左手も掲げて見せる。

 薬指には私のとペアの指輪が光っていた。

「いつの間に!」

 なんだろう、この用意周到さ。

 感動というよりは、ちょっとムカつく。

「この指輪用意したのは24日に役所に婚姻届提出してから。瑠璃が寝てる間に指輪のサイズはかった」

「注文したのは僕なんですよ。誉さんはいろいろディテールにもこだわるから大変でした。誉さんがデザイン選んで宝石店に特注したんです」 

 片山くんが嬉々とした表情で語る。
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