愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 思えば、私に最初に指輪を買ってくれたのも誉だった。

 小さい頃、兄と誉と私の3人で縁日に行って、あるおもちゃ屋の露店に並んでたガラス玉の指輪を見てたら、誉が何も言わずに買ってくれたのだ。

 誉はいつも私の欲しいものを知ってる。

 兄以上に私を見ているからだ。

 きっと有栖川家で疎外されてた誉は私の事が放っておけなかったのかもしれない。

 私のピンチには必ず現れるのだ。

 あの指輪はまだ捨てられずに持っている。

 捨てられる訳がない。

 誉には言えないが、あれは私の宝物だ。

 誉が寝ててくれると良いんだけど。

 ゆっくりお風呂から上がってバスローブを着てベッドルームに入ると、誉は残念なことにまだ起きていた。

 ベッドに入ってノートパソコンのキーボードを叩いてる。

 きっとメールの返信だろう。
< 146 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop