愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 軽くお辞儀してから成宮の前を去ろうとすると、いきなり腕をつかまれた。

「何するんですか!」

「あなたにもお礼を言っておこうかと思いましてね。お礼参りですよ、今日は」 

 成宮は冷笑する。

「・・・・」

 なんだか怖い。

 普通の目じゃない。

 逃げなきゃ。

 思い切りヒールの靴で成宮のピカピカに磨かれた靴を踏みつける。

「いた・・・・!何をする!」

 一瞬成宮の手の力が緩んだので、彼を突き飛ばして逃げた。

 走ってエレベーターの前に着くと、慌ててボタンをカチカチカチと何度も押す。
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