愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 そう言えば誉の声がしない。

 ハッとして後ろを振り返ると、誉が頭から血を流して倒れていた。
「誉ー!誉、起きて!」

 どんなに叫んでも反応はない。

「嘘でしょう?」

 青ざめながら誉の脈をみる。

 良かった。

 脈拍はある。

 でも、なんで返事をしないのよ!

「いつもみたいに私の名前を呼びなさいよ!」

 スマホを取り出して、いつも居室にいる片山くんに連絡をする。

『瑠璃さん、さっき誉さんがそっちに行ったんですけど、誉さんに何かあったんですか?バイタルが正常じゃない』
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