愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 このままつまらない人生を送って一人で死んでいくのかもしれない。

 誉の姿も、声も、温もりのない世界はとても空虚なものだった。

 誉はきっと誰か見つけたのだろう。

 出来損ないの私なんかわざわざ選ばなくても、誉にふさわしい人はいっぱいいる。

 それが奴のため。

 誉が幸せならそれでいいと思った。

 諦めかけたその時、奴は再び現れた。

「・・・誉」

 ハッと目が覚めると、知らぬ間にベッドの上で寝ていた。

 誉は?

 あれからどうなったの?

 ここはどこ・・・?

 なんとなく消毒薬の匂いがする。

 多分病院に運ばれて来たのだろう。

「誉はどこ?」
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