愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 2歳くらいまでに自然に穴が塞がることもあるようだが、私の場合はそうじゃなかった。

 日常生活にも支障が出るので、3歳の時に手術した。

 おかげで普通の生活が送れるようになったけど、この手術跡を人に見られたくはなかった。

「キレイな身体だったよ」

 誉がいつになく真摯な瞳で告げる。

「キレイなわけないじゃない!嘘つき」

 私はキッと誉を睨みつけた。

 こんな手術跡がある身体がキレイ?

 私をからかってるの?

 こんな超絶美形に同情なんてされたくない。

「人を嘘つき呼ばわりするなんて相変わらずガキだな」

「ガキで結構。うちに帰る。私の服と眼鏡どこ?」 

 誉から視線をそらし、部屋を見渡す。

「瑠璃のスーツはクリーニングに出した。あのメガネは俺の趣味じゃないからしばらく預かる」

 私の心が読めるのか、誉は意地悪く告げる。
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