愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 成宮さんは、冷ややかに口角を上げる。

 見ていて怖かった。

 だが、誉も負けていなかった。

「そうだな。だが、自分のものに害をなすお前も俺にとっては邪魔者だ」

 誉は悪魔の微笑を浮かべる。

 その視線はとても冷たくて、眼差しだけで人が殺せるんじゃないかと思った。

「会長は諦めませんよ」

 成宮さんは相変わらず無表情だ。

「目先の利益しかわからないなんて、所詮狸は狸ってことか」

 誉さんは嘲る。

「そんなに議員とのパイプが欲しければ、他に似合いの見合い候補がいるだろう。あれなら喜んで結婚するさ」

「会長は専務にグループを継がせる気はありません」 

 専務は誉さんの従兄で、うちの会社の後継者候補の一人だ。

 顔は悪くはないが、女癖が悪く仕事もいい加減で評判が悪い。
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