愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 縁故でなければとても専務にはなれなかっただろう。

「お前も同意見ということか。意外だな。あれがトップの方がお前も扱いやすいだろうに」

「トップが馬鹿だとストレスが溜まるんですよ」

「いっそのことお前が天下取れば?それか、分家の恭介。恭介は出来る男だ。分家とはいえ、異国の血が入ってる俺よりマシだと思うよ」

 誉は自嘲する。

 彼の言葉で今の誉の容姿の謎がとけたような気がした。

 彼が髪や目の色を変えている理由。

 日本人なのに容姿は外人に近い誉は、きっとビジネスにおいて好奇な目で見られるのが嫌だったんだ。

 綺麗すぎる容姿は武器にもなるけど、彼にとっては目立ちすぎて邪魔だったのかもしれない。

 それに有栖川家は、元は華族の由緒正しい家柄。

 血を重んじる有栖川家で、いくら直系とはいえ外国の血が交じっている誉は異端の存在。
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