愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「私には不安の要素しかないんだけどな」
 
 私は溜め息混じりにポツリと呟く。

「それで、誉さんと何があったんですか?」

「聞いてくれる?せっかくソファーで安眠してたのに、今朝起きたらあの鬼畜悪魔の顔が目の前にあったの。驚くでしょう?何もされてなかったみたいだけど、思わず奴の胸板叩いたわよ」

「う~ん、僕の目の前に誉さんの顔があったらそれこそ引きますけど。でも瑠璃さんは誉さんの・・・うぐっ!」

 突然片山くんが黙り込んだと思えば、誉がいつの間にか彼の背後にいて口を塞いでいた。

 げっ、エロ大魔王のお出まし!

「何余計な事言おうとしてるのかな?聖、試作品は今日完成させるんじゃなかった?もたもたしてると年越すよ」

 誉が悪魔のような微笑を浮かべる。

 何だろう。

 笑ってるのに、なぜかずっしりと身体に感じるこの威圧感。

「・・・・すみません、誉さん」

 片山くんも何かまずいと思ったのか、苦笑しながら後ずさる。
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