愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「あっ、これ今ニューヨークで有名なカップケーキじゃない!こないだニュースで日本にも店がオープンしたってやってて気になってたの。すごく嬉しい。ありがとう、一ノ瀬くん」

 私が素直にお礼を言うと、一ノ瀬くんはちょっと照れながらも笑顔を見せてくれた。

 あっ、その笑顔可愛いかも。

 やっぱり邪気のない笑顔っていいよね。

 私も心から微笑み返すと、一ノ瀬くんは頭をポリポリとかきながら言った。

「・・・そう言えば、おめでとうございます」

「何が?」

 私がキョトンとしてるその横で、片山くんが何か目配せしている。

 それを見た一ノ瀬くんが慌ててまた口を開く。

「あの、その・・そう引越、同棲」

「一ノ瀬くん、残念ながら、その引越も、同棲じゃなくて同居も全然めでたくないの」

 溜め息混じりの声で言うと、一ノ瀬くんが固まっていた。
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