愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「ほんと醜い身体。ガムテープでも貼って隠したら?」

 彼女の悪意に満ちた言葉は、ナイフで心臓を抉るくらいの威力があった。

「・・・・」

 ショックのあまりしばらく呆然と立ち尽くす。

 今日はやっぱり最悪な日だ。

 もう自分で立ち直る元気も気力もない。

 目の前が真っ暗になって底なしの闇に落ちていく。

 落ちていくのは簡単だ。

 何も抵抗せずにいればいいのだから。

 ただ落ちていく。

 もう疲れた。

 このまま闇に喰われてしまえばいい。

 そう願った時だった。

 西島さんの声がした。

「うちの早瀬が何かしましたか?これ以上、彼女を侮辱する発言をするなら、法的手段に訴えますが」
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