愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 西島さんは私に近づくと、自分の着ていたスーツのジャケットを脱いで私にかけた。 

「うちのパパは国会議員よ。勝てるわけがないわ」 

「馬鹿な娘だな。お前みたいな女を誉が相手するわけないだろ?早くここから立ち去れ。でないと警備員を呼ぶぞ」 

 西島さんが彼女を見据えて吐き捨てるように言うと、彼女は怯んだのかここから逃げるようにして立ち去った。

「おい、大丈夫か?」

 西島さんが声をかけてくれたが、もういつものような営業スマイルではいられない。

 何の感情もこもってない声で呟く。

「・・・大丈夫じゃない」

 心も身体もボロボロだった。

西島さんを置いてふらふらしながら居室に戻ろうとして、突然誰かに抱き上げられた。
< 76 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop